つるるるるるるる。
ぴ。
『あ、もしもし? ふたみくん?』
『おう。どした?』
『あのね、今帰り道なんだけどね、実はさっきから後ろに変なひとが……』
『はぁ!? ちょっと待』
『……というのは冗談でぇ』
『……おーい!』
『あはは、ごめんね、ついつい。帰り道なのは本当だけど、何だかんだで安全っぽいから大丈夫。鱗粉もあるしね』
『気をつけろよ、お前ぼーっとしてるから』
『えー、でももう十九になったよー。大人だよー。もう滅多に転ばないし!』
『たまには転ぶのかよ』
『……あ、それより風邪、どう?』
『わかりやすいな……いや、平気平気。まあ、今日は薬飲んで寝るわー』
『そう? 良かったー。さっき顔真っ赤だったから、ちょっと心配だったの。気をつけてね、もう寒くなってきてるし』
『ん、あんがとな。さっきは酒も入ってたし……てか毎回思うけど、買い込みすぎなんだよな、酒を』
『皆、逢えるのが楽しみではりきっちゃうんだよ。わたしもそうだし』
『まぁな……明らかに買い込みすぎてる筈なのにそれでも殆ど無くなってたしな……』
『うん、あのあとちゃんと全部飲み切ったんだよー』
『マジで? すげーな皆』
『ね、わたしもお酒もう無いって言われてびっくりしたー。やっぱり人数がいると違うねぇ。たのしかったー』
『いや、でもあん中には下戸も居ただろ? やっぱ、飲む奴一人一人の摂取量がさ……』
『あはは、飲みすぎると身体壊しちゃうね、気をつけないと』
『そういや最近身体だりーんだよなー。俺も歳?』
『えぇー……! ……早く、元気になってね? ふたみくんの作ったご飯、また食べたいし』
『おう、風邪なんかちゃちゃっと治して、なんでも作ってやるよ』
『……わぁい! じゃあねー……おせちがいい!』
『いやいや、おせちはまだ先だろ』
『えー、でも昔作ってもらったやつ美味しかったもん。なんだっけ、磯部巻?』
『……伊達巻?』
『あ、それ』
『間違えんな間違えんな。まあ、じゃあ次逢った時にでも作ってやるよ』
『えへへへへー……っと、あ、お家着いちゃった。ごめんね、寝なきゃいけないのに』
『や、平気ー。無事に着いて良かったな』
『うん、ありがとね。ふたみくん、明日はお家でゆっくり休むんだよ?』
『そだなー……そうするわ』
『えへへ。じゃあ、おやすみだね。今日はありがと! またね?』
『おう、せせもまたな。お休み』
……ぷつ。
つー、つー、つー、つー。
ぴ。
dos / continue