知りたくないし知られたくないでしょう。

お前が厭だと言うなら私だって聞かない。

あら、秘密主義なんてつまらないだけよ。

行き過ぎた開陳主義もどうかと思うがな。

信用して?

無理だよ。

信じられない? 自分は好かれるに値する人間かどうか?

信じられない。お前の言葉が、信じるに値するかどうか。

狐は人を誑かすのよ。

その通りだな本当に。

誑かすの。言で狂わす――と書くの。

言葉遊びだろうそんなのは? なあ。 

楽園ちゃんは、狂ってなんかいないのよ――。

――信じられやしない。そうやって少しずつ、

だから大丈夫――うふふ。

――狂わすんだろう私を?

好きよ。

毒だな。

好きよ。

毒だよ。

好きよ。

苦いよ。

友愛感じてくれてるんでしょう?

お前は――狐なんかじゃないよ。

愛してるわ。

知ってるよ。

愛してるわ。

知ってるさ。

愛してるわ。

皆をだろう。

知っていたの?

隠してたのか?

いいえ別に。

だと思った。

どうして欲しい?

少し黙ってくれ。

本当に本当に本当のところは?

頼むから消えるなんて、言うな。

人の世は愚か。

その歌は何だ?

なんて美しいんでしょう――。





坂を駆け上りまっすぐに
上って落ちる!
美しい車は、まっすぐに!
あなたを乗せ!


「支離滅裂の美学!」
「馬鹿なんだろう?」
「さあ、お立ち会い」
「ふざけている……」
「焼き憑けてね?」
「網膜が、ああ」
「印画紙の様」
「酷すぎる」
「今よ!」
「何故」


叩きつけられる/車輪が回る/弾け飛ぶ破片/うつくしい車/


「――眼を瞑ってはだめよ」
「こんな――拷問みたいに」
「言祝いでね、祝ってよ?」
「泣いてしまうよ」
「笑って、笑って」
「消えるなよ――」
「腐るまでずっと見ていて」
「もう何も通じないのか?」


生きている/死んでいる/目の前の金色は一体どちら/この黒髪に白髪が交じる時にも/


「私は正常――」


―― そんな悪夢。ぷっつりと。




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