※
知りたくないし知られたくないでしょう。
お前が厭だと言うなら私だって聞かない。
あら、秘密主義なんてつまらないだけよ。
行き過ぎた開陳主義もどうかと思うがな。
信用して?
無理だよ。
信じられない? 自分は好かれるに値する人間かどうか?
信じられない。お前の言葉が、信じるに値するかどうか。
狐は人を誑かすのよ。
その通りだな本当に。
誑かすの。言で狂わす――と書くの。
言葉遊びだろうそんなのは? なあ。
楽園ちゃんは、狂ってなんかいないのよ――。
――信じられやしない。そうやって少しずつ、
だから大丈夫――うふふ。
――狂わすんだろう私を?
好きよ。
毒だな。
好きよ。
毒だよ。
好きよ。
苦いよ。
友愛感じてくれてるんでしょう?
お前は――狐なんかじゃないよ。
愛してるわ。
知ってるよ。
愛してるわ。
知ってるさ。
愛してるわ。
皆をだろう。
知っていたの?
隠してたのか?
いいえ別に。
だと思った。
どうして欲しい?
少し黙ってくれ。
本当に本当に本当のところは?
頼むから消えるなんて、言うな。
人の世は愚か。
その歌は何だ?
なんて美しいんでしょう――。
※
坂を駆け上りまっすぐに
上って落ちる!
美しい車は、まっすぐに!
あなたを乗せ!
「支離滅裂の美学!」
「馬鹿なんだろう?」
「さあ、お立ち会い」
「ふざけている……」
「焼き憑けてね?」
「網膜が、ああ」
「印画紙の様」
「酷すぎる」
「今よ!」
「何故」
叩きつけられる/車輪が回る/弾け飛ぶ破片/うつくしい車/
「――眼を瞑ってはだめよ」
「こんな――拷問みたいに」
「言祝いでね、祝ってよ?」
「泣いてしまうよ」
「笑って、笑って」
「消えるなよ――」
「腐るまでずっと見ていて」
「もう何も通じないのか?」
生きている/死んでいる/目の前の金色は一体どちら/この黒髪に白髪が交じる時にも/
「私は正常――」
―― そんな悪夢。ぷっつりと。
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